認知症治療薬の種類と一覧・副作用・新薬開発

認知症治療薬家庭の医学

認知症治療薬

 

現在、日本で認知症治療薬として認可されているのは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のアリセプト、レミニール、リバスタッチ・イクセロンパッチ、NMDA受容体拮抗薬のメマリーです。

認知症薬の種類と一覧および副作用をまとめました。

また、認知症の新薬として、夢の根治薬となりうるアデュカヌマブaducanumabを紹介しました。

 

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認知症治療薬の種類と一覧

 

2016年現在、日本で認知症治療薬として認可されているのは4種類です。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬3種とNMDA受容体拮抗薬1種に分類されます。

アルツハイマー型認知症では、記憶に関わるアセチルコリンが減少して病気が進行します。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬はその名の通り、アセチルコリンエステラーゼ(アセチルコリンを分解する酵素)を阻害する薬です。

アセチルコリンに代わって分解されることにより、アセチルコリンの量を保って記憶障害など認知機能障害の進行を遅らせます。

アルツハイマー型認知症では、グルタミン酸の濃度が高くなってNMDA受容体が活性化され、Ca2+が神経細胞内に過剰に流入して神経細胞が障害を受けます。

NMDA受容体拮抗薬は、この過剰なCa2+の流入を防いで、記憶の神経伝達を正常化します。

認知症治療薬一覧

分類名称適応・特徴
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬アリセプト(ドネペジル)A軽中高、L
  〃レミニール(ガランタミン)A軽中
  〃リバスタッチパッチ
イクセロンパッチ(リバスチグミン)
A軽中 貼付剤
NMDA受容体拮抗薬メマリー(メマンチン)A中高 併用可

A:アルツハイマー型認知症 L:レビー小体認知症 軽:軽度 中:中等度 高:高度

 

認知症治療薬の副作用

アリセプト(ドネペジル)

食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛、便秘など消化器症状

興奮、不眠、徘徊、暴力などの精神症状

頻尿や失禁、心拍や脈の乱れ

振戦、無動、固縮、姿勢反射障害などパーキンソン病のような症状

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レミニール(ガランタミン)

アリセプトに似た症状が出ます。

ただし、薬の効果が持続する期間が短く、蓄積性もないので、不眠よりも傾眠を起こすことがあります。

リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ(リバスチグミン)

食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛、便秘など消化器症状

かゆみ、発赤などの皮膚症状

アリセプトやレミニールと比べて軽度です。

メマリー(メマンチン)

ふらつき、よろめきなどの浮動性めまい

便秘

日中うとうとする傾眠

幻覚、幻視、妄想

まれに、けいれん、失神

 

認知症治療薬の新薬開発

 

認知症の新薬としては、アデュカヌマブaducanumabが注目されています。

アデュカヌマブは、現在認知症の治療に使われているような進行を遅らせる薬というより、認知症を治す薬となりえます。

アデュカヌマブは米国の製薬企業バイオジェンが開発している抗アミロイドβ(Aβ)抗体です。月に1回投与する注射薬(点滴静注製剤)です。

アミロイドβはアルツハイマー病を引き起こす原因と考えられているたんぱく質です。

アデュカヌマブにより、アミロイドβが減少することが示されています。

60代から80代の初期アルツハイマー病患者に月1回1年間アデュカヌマブを投与する治験(Nature 537, 50–56)で、ほとんどのケースでアミロイドβが減少しました。健康人と同レベルになったケースもありました。

この治験で、アデュカヌマブがアミロイドβを除去するだけでなく、認知機能の低下を遅らせる効果もあることが示されました。認知症を治す可能性があります。

以前の治験では、アミロイドβを除去しても認知機能には効果がありませんでした。専門家も期待を寄せています。

現在、アデュカヌマブは、日本人患者も対象にした治験の最終段階が行われています。ALZFORMのTHERAPEUTICS Aducanumabによれば、治験終了は2022年初頭のようです。

アデュカヌマブ以外の開発も進められています。世界中で新薬の開発競争が行われています。夢の根治薬が期待されます。

 

まとめ

 

認知症の治療薬は、記憶障害などを改善して進行を遅らせるものです。薬物投与を始める時期が早いほど改善効果が高いので、認知症は早期発見・早期治療が大切になります。ご家族に認知症が疑われるの症状が出始めたら、早めに専門家に診てもらうように受診を勧めましょう。

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