2021年10月11日のまちかど情報室のテーマは”声の力を鍛えよう”でした。
最近コロナ禍で人と話すことが少なくなりました。それで声がかすれるとか思うように声が出ないという方が増えています。
張りのある声をどうすれば手にすることができるのかを教えてくれたのは耳鼻咽喉科の医師で声の治療を専門とする山王病院 東京ボイスセンター センター長 国際医療福祉大学 医学部教授 渡邊雄介さん。
渡邊さんは、 治療だけではなく、著書を通して声の大切さを広く伝えています。
コロナ禍になってから会話する機会が減ってしまったために、声の不調を訴えている人が最近増えています。
これは声を出すための器官 声帯が衰えていることが原因です。
声帯は気管の入り口にあります。発声する際は、左右の声帯が閉じることで喉をふさぐ構造になっています。
ぴったり閉じた声帯の間をスーッと空気が通る際に声帯がブルブルと振動することによって声が出ていますが、この声帯が衰えてしまうと、声帯がピッタリ閉じることができなくなって、思うように声が出なくなります。
なぜそうなるかというと、声帯は、意外かもしれませんが、筋肉で出来ています。
筋肉の上に粘膜を張ったような状態なので、あまり使っていないと、足腰と一緒で、声帯の筋肉がやせます。
そこで達人のチェック方法があります。
最大持続発声時間
大きく息を吸って一息で何秒間持続するかという検査が医学的に最大持続発声時間といいます。
成人男性は30秒、女性の場合は20秒です。
まずはリラックスして首や肩の力を抜いて、鼻からたっぷりと息を吸います。
そして「あ一」と一息で声を何秒間出し続けられるかを計測します。
声帯が衰えていると、声帯を振動させるためにより大きな力がいるので、息が長く続きません。
目安は、成人男性は30秒、女性は20秒以下だと、声帯が衰えている可能性があります。
そこで 声帯を鍛えて、張りのある声を手に入れる達人の技。ここでストローが必要です。
チューブ発声法
ストローを口にくわえて、そのまま「うー」と発声します。
ストローを使って軽くくわえて、力まずに「うー」と5秒以上、声を出し続けます。
これを何度も繰り返します。
声帯をしっかり振動させること自体が声帯を鍛えることにつながります。
ストローを使うことで出口が小さくなります。
口をすぼめて発声することで、喉の中の圧力が適度に高まって、より効果的なトレーニングになります。
1回5分程度を、1日3回、1か月続けると、声の響きが良くなります。
声帯のトレーニングを、日常に取り入れることが大切です。
短い時間でいいので、毎日声を出すようにしてください。
ストローがなくてもハミングとか鼻歌を歌うだけでも、振動させることができて効果があります。
2021年10月18日のまちかど情報室のテーマは”声の筋力を鍛えよう”でした。
声帯や声の筋肉を鍛えることによって、健康維持に役立つということを教えてくれたのは、今回も声の治療を専門とする医師の渡邊雄介さん。
渡邊さんが重要だと指摘するのは特に声帯の周りにある内喉頭筋という小さな筋肉の集まりです。
渡邊さんは、それらをまとめて声筋と呼んでいます。
声筋は声を出す以外に大切な機能があります。
一つは飲み込むこと。高齢になると食べ物は飲み込みにくくなりますが、これは声筋が衰えることが原因です。
さらにもう一つ意外な役割も担っています。
声筋は踏ん張ることにも影響しています。
例えば、重い荷物を持ち上げようとする時に、息を止めたり、グッと力を入れます。
この時に声筋が声帯をピタッと閉じることによって肺の中の空気が外に漏れないようにしています。
なぜかというと…
肺の空気を口から漏らさないようにして、肺の大きさが変わらないようにします(胸郭の固定)。
肺の大きさが固定されることで、上半身の土台として安定します。
これが安定すると全身の力を発揮することができます。
声筋が衰えると、気道にフタができずに空気が漏れて、肺の大きさが安定しません。
肺の空気がどんどん漏れると、上半身が固定できないため、踏ん張りが利かなくなります。
特に高齢者の方は、踏ん張りがきかないと、つまづいた時に転倒しやすくなります。
のーのー発声法
ですから、健康維持のために大切な声筋を鍛えるために渡邊さんの技があります。
”のーのー発声法”と言われます。
低い声から高いところへ「のー↗」、高いところから低いところに「のー↘」。これが1セットになります
まず口を小さくつぼめて「のー」と発声します。ポイントは、音の高さを徐々に変化させていきます。
高音では声帯が伸び、低音では縮むため、声筋をバランス良く鍛えることができます。
1回10セットを1日3回、3時間ほど間隔を空けて行います。
プッシング法
さらに、いざという時に備えて、声筋の瞬発力を鍛える技もあります。
それがプッシング法になります。
左右の手のひらを目の前で合わせながら、「A」「B」「C」と発声します。
手を合わせる時に、瞬間的に力を入れることがポイントです。
A(えい)B(びい)C(しい) の力を出しやすい「い」の音を含む発声を行うことで、声帯が強くしまって、声筋が鍛えられます。
「い」をしっかり言う必要があります。
ABC を5回で1セット、1日3セット、3時間ほど空けて行なってください。
声筋も鍛えていただいて、楽しく健康寿命を延ばしていただけたらと思います。
トレーニングする時の注意点は、こまめに水分補給をしてください。
喉が乾燥してしまうと、喉に負担がかかってしまいます。
難かしいなという人は、お風呂が湿気のある場所なので、そこで歌を歌うことだけでも少しトレーニングになります。
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