革製品のお手入れ(汚れ落とし・保湿・つや出し)と保管 保科美幸

革の鞄家庭

2022年3月14日のまちかど情報室のテーマは”革製品 お手入れのコツは”でした。

今の時期、まだ乾燥しているので、革製品へのお手入れがとても重要になってきます。

革製品のお手入れのコツを教えてくれたのは、東京世田谷区の革製品の修理工房に勤める保科美幸さん。

ここには、年間4,000点もの修理の依頼が舞い込みます。

ここで、修理のエースとして活躍する保科さん、思うことがあります。

「革製品は人間の肌と同じだと思っています。なので、普段、肌のお手入れをするように、汚れ落としをして保湿をしてあげることで、長く使用できる状態になるので、お手入れは必須です。」

乾燥しているこの時期、お手入れをしないと、革の表面がひび割れてしまうこともあります。

これを防ぐのに、保湿が欠かせません。

汚れ落とし

保湿の前に大事なのが、汚れ落とし。

保科さんが使うのは、中性洗剤。中性洗剤を水で薄めて使います。

水 2リットルに、中性洗剤 小さじ1混ぜて、コットンに染み込ませます。

しっかり絞って、まず目立たないところでシミにならないかを確認してください。

その上で汚れを拭き取っていきます。

「コットンは、強くこすらずに、優しくなでるように表面の汚れを取るだけで十分です。」

保湿

そして、いよいよ、保湿に入っていきます。

保科さん「革製品専用のクリームがあるので、そういうものを使ってほしいが、ない場合は、自宅にあるハンドクリームなどを使用してもいいです。」

含まれているグリセリンなどの成分が、革の保湿にもいいです。

これも革製品によってはシミになるものもあるので、まずは目立たないところで試してから、その後に全体に塗ってほしいということです。

手で直接塗っていくことで、クリームが温まるので、より革に馴染みやすくなります。

「痛んでいるところほど、油分と水分を吸い込んでいくのが革製品の特性なので、痛んでいるところほど、ゆっくり少量で伸ばした方がいいです。」

つや出し

最後はつや出しです。

保科さんがおすすめするのは、古いストッキングです。

ストッキングは細かい繊維で油分を取り除けますし、静電気でホコリも取れます。

さらにベルトも長年使い込むと、革が伸びたり変形したりしがち。

そこで保科さんの技。低温にしたアイロンを当てるとゆがみがきれいになります。

「革製品をお手入れしている時に、なんでこれを買ったのか、あるいは、どなたからいただいたのかということもきっと思い出すと思います。お手入れすると、長く使用したくなる感情が出てくるので、そういった意味でもお手入れはおすすめです。」

保科さんによると、1か月に1回はやってほしい。

また怠らなければ、革製品は10数年持つこともあるので、ぜひやってみてということです。

 

2022年3月28日のまちかど情報室のテーマは”革製品 きれいに保管”でした。

いつ取り出してもきれいに使える 革製品の正しい保管方法を教えてくれたのは、今回も革製品の修理工房に勤める保科美幸さん。

革製品の保管

工房に舞い込む年間4,000点もの修理の依頼の多くは、革製品の保管の仕方が原因のトラブルだと言います。

「革製品の保管はちゃんと知識を得てやっている方が少なくて、自己流でやっている方が多いです。」

普段、どんなふうに保管しているのか、街の人に聞いてみました。

「買ったときの箱を取っておいて、その中にしまっている。」

「旅行の時のケースに詰めて、上の方にしまっている。」

保科さんによれば、こうした保管の仕方はよくないと言います。

「箱や袋にしまいっ放しというのは控えてください。箱や袋に入れていると、通気がない。湿度によってカビが生えたり、トラブルが起こり易い状況になります。」

カビを発生させないためには、箱や袋から出して、通気の良い状態で保管するのがいいです。

どうしても箱に入れておきたい場合は、ふたを取って収納しておくのがいいです。

重ねる場合は、箱をずらしておくことで通気を保てます。

もう一つ保科さんがお勧めするのが…

「お出かけする前にクローゼットの扉を全部開けておく、それだけでも通気が良くなります。」

クローゼットを締めっぱなしにはせず、適度に開けることでカビ防止になります。

そして、保管の仕方がよくないと、カビの他にもトラブルが…

他の革製品などからの色移りです。

特に、倒れやすいバッグを保管する時には…

ブックエンドを使います。ブックエンドを立てて、バッグとバッグに隙間を開けて、隣とあたらないようにします。」

その時、ブックエンドに靴下など柔らかいものを巻いておくと革製品などがもたれかかっても、跡がつきにくくなります。

隙間を開けると、色移りを防ぐとともに、通気性も良くなります。

さらに、ショルダーバッグには保科さんおすすめの技があります。

置かずに、吊り下げての保管です。

ショルターバッグは、置いておくと、型崩れしやすいです。

釣り下げておくことで、カビや色移りだけでなく、型崩れも防ぎます。

粘着テープの芯を使うと、持ち手の部分の形もきれいに保てます。

「保管の仕方でトラブルが起こるのがもったいないので、大切なものこそ正しい方法で保管されることをお勧めしたいです。」

革製品にカビが生えてしまった場合でも、革製品の専門の業者に依頼すれば、基本的に落とすことができます。

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