2020年7月16・30日、9月3・10日のまちかど情報室のテーマは”朝めし前の脳トレ”でした。ストレス解消のために手軽にできる脳トレと、朝食のおすすめメニューのアイデアが紹介されました。
教えてくれたのは、公立諏訪東京理科大学で健康科学や脳科学を専門に研究し、数々の脳トレを考案した篠原菊紀教授です。
ストレスを解消する脳トレと朝食
篠原教授にコロナ禍を過ごす今の私たちの脳の状態について聞きました。
ただでさえ長期休み明けは体の変調をきたしやすいと言われています。
コロナ自粛後は、これから新しい状態に適応していくことも必要になります。余計に頑張らなければいけないとなると、ストレスは新たに増えやすくなります。
そこで、ストレスにさらされている脳を和らげるのにピッタリの朝やっておきたい朝めし前の脳トレを紹介します。
作り笑い脳トレ
割り箸をくわえます。そうすると、口が横に広がって口角が上がり笑い顔に近い状態になります。
笑顔を作るとそれだけで楽しい気分になります。脳のドーパミン神経が活性化して楽しい気分になってくるのです。その状態を朝作ることが大事です。
さらに効果を高めるためには、その顔を見ることも重要です。スマホの自撮りでニッコリ顔を作ったり、鏡の前でニッコリしてもいいでしょう。
誰かがニッコリしている写真や映像を見るだけでも、自分もニッコリ顔に近づくので、それでもいいでしょう。
魚介の缶詰で鉄分補給
バランスのいい朝食が大事ですが、それに一品加えるとすると、魚の缶詰がおすすめです。さばやさんま、あさりなど、そのまま食べられる魚介の缶詰です。
理由は鉄分が多いからです。鉄分は貧血予防ではよく知られていますが、脳の働きを良くしたりサポートするのにも大事な物質です。
例えば、さばの缶詰は鉄分の多い納豆と混ぜてさば納豆。
卵焼きにあさりを混ぜると貝の旨味で美味しく鉄分補給できます。
運動不足による脳機能の低下を改善する脳トレと朝食
家で過ごす時間が多く、運動不足のときの脳の状態について、篠原菊紀教授に聞きました。
ステイホームでどうしても運動不足になりがちです。
通常、筋肉や骨から脳にたくさんの刺激がいっていたり、脳をサポートする物質が分泌されています。
運動不足の状態だと、これらが減っているので、身体側から脳に対して活を入れてあげることが必要になってきます。
朝の脳トレ スリスリトントン
左手はパー、右手はグーにして、左手でスリスリ、右手でトントンします。そして右手と左手を切り替えます。
切り替えるときに混乱が生じますが、そこが脳トレになります。うまくいかないときに、手の動きを一生懸命コントロールしようとすることが脳トレになります。
スリスリトントンが上手にできるようになったら、さらに効果を高めるためには、音楽を聞きながらリズムに合わせるといいでしょう。
家族そろってやると、相手のやっている姿を見たり、一緒にやってストレス解消に役立って、脳にいいです。
カマンベールチーズを食べてBDNFの分泌を増やそう
脳トレをした後の朝めしに食べてもらいたいメニューは、カマンベールチーズです。
カマンベールチーズを食べると、BDNF(脳由来神経栄養因子:脳細胞を育てたり、ニューロンを伸ばすのに関係する物質)の分泌が増すことが知られています。
BDNFは認知機能と関わることが知られているので、オススメしている次第です。
カマンベールチーズを細かくすると、クリームのようになってトーストやサラダに合わせやすくなります。
お椀に入れて味噌汁を加えてもOK。味噌も発酵食品なので意外と味が合います。
カマンベールチーズごはんは、熱々のご飯でカマンベールチーズがトロリとなっておいしいです。お好みで卵を加えてもいいでしょう。
脳の集中力を高める脳トレと朝食
今年のいつもと違った夏の過ごし方が、脳にどんな影響を与えているのか、篠原教授に聞きました。
いつもの夏と比べ、出かける機会が減ったり、人とのコミュニケーションをとるのが減りました。
こういうときは単調な生活が続いて、脳が活性化しにくい状況になってしまいます。特に集中力がなくなりがちなので、脳を効果的に刺激して働かせる必要があります。
そこで、脳の集中力を高めるためにおすすめの脳トレがあります。今回は目を使います。
眼球運動
目と脳は深いつながりがあります。意識して眼球のコントロールをすると、集中力を高めることができます。
四角いものを用意します。スマートフォンや雑誌などでいいでしょう。最初に四角い物の中央を見ます。
次に眼球だけを四隅に動かします。2周します。終わったら、反対側に2周回します。最後にフーッと息を吐きます。
これだけで集中力が高まってきます。普段はやらない、眼球だけを意識して、たくさん動かすという動作が脳を活性化させます。
このとき、気づかないかもしれませんが、脳は以下のような働きもしています。
眼球を動かすだけでも、頭は微妙に揺れています。なので、見ているものがブレないよう、脳はカメラのブレ防止機能のように、その揺れを補正しています。
眼球を動かすという動作1つでも、脳は活発に動いています。
さらに、本や雑誌などの文字に線を引きながら目で追うと、視線がそこに集中しやすくなり、効果的です。
MCTオイル
朝食に1品加えるとすれば、母乳がいいです。母乳といっても母乳そのものではなく、母乳から見つかった中鎖脂肪酸がおすすめです。
中鎖脂肪酸はMCTと呼ばれ、ココナツオイルやMCTオイルなどで摂れます。
MCTはココナツなどのヤシ類からとれる油で、朝食におすすめのエネルギー源です。
MCTオイルは、普通の油に比べて、すぐ消化されるのが特徴です。体にたまりにくく、運動のエネルギーになりやすいので、朝ごはんに摂ると1日のスタートにぴったりです。
MCTオイルは味も香りもほとんどなく、いろいろなものに合わせられます。
例えば、バターの代わりにパンにぬったり、ジャムやマヨネーズに混ぜたり、納豆や卵など、和食に使うのもおすすめです。
水に溶けやすいパウダータイプは、コーヒーに入れるとまろやかな味わいになります。
暑さに負けない脳トレと朝食
今年の暑さが脳にどんな影響を与えているのか、篠原教授に聞きました。
暑さや特に高い湿度は集中力を低下させ、眠気をもたらします。意欲が下がってボーッとしやすくなり、仕事や勉強しなくてはならないということになると、さらにイライラが増してストレスにさらされやすくなります。
小銭を使った脳トレ
1日の仕事や勉強のスタートに向け、頭をスッキリさせるのにおすすめの脳トレがあります。今回使うのは財布です。
①中から小銭をひとつかみ出し、机の上に並べる。
②種類別に並べる。
③目で見るだけで頭の中で数える。メモをとったり、指を使ったりせず、頭の中だけで計算する。
小銭を増やし、並べ替えずに頭の中で計算してみましょう。ごちゃごちゃになった小銭を頭の中だけで数えることが良い脳トレになります。
小銭計算は空間認識といって、物体の方向や形、角度を把握した上で、いくらという計算をしていくので脳が活性化します。
このとき脳の中では500円が1枚、100円が3枚、というように数え、その数を次々と記憶して足し算します。この頭の中の計算で、大人から子どもまで脳が活性化します。
他にも衛生面に気をつけながら、意識して買い物で小銭を使うのもいいでしょう。
脳や体に役立つ篠原教授おすすめのメニュー
朝飯前の脳トレをした後の朝ごはんに一品加えるとすると、乳たんぱくがおすすめです。
厚生労働省のデータによると、日本人のたんぱく質摂取量が減っていて(2017年)、1950年代と同じくらいになっています。朝食を抜くことやダイエットなどが原因です。
そこで、特に吸収効率のいい乳たんぱくが、体に不可欠な必須アミノ酸がバランス良く含まれていて、朝ごはんではおすすめです。
たんぱく質不足は筋肉が減少したり、免疫力や脳の働きの低下につながります。
統計上の不足分を補うには、10gくらいの乳たんぱくを摂ることが目安になります。
篠原教授のおすすめは、ヨーグルトを電子レンジで30秒ほど温め、40℃くらいにして食べること。
少し温めることで胃腸に刺激が少なくなり、吸収もよくなります。温めたヨーグルトはやや酸味が強くなるので、バナナやはちみつを加えると食べやすくなります。
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