唾液&舌でウイルス・細菌防御 上田貴之 まちかど情報室1月26日2月2日

口内健康

2021年1月26日・2月2日のまちかど情報室のテーマは”冬のお口 ケア”でした。細菌やウイルスに負けないためには、口の中の状態を整えておくことが重要です。その方法を教えてくれたのは、口の機能を高める研究をしている東京歯科大学教授 上田貴之さん。

唾液で潤し口内環境を整える

今の時期、細菌やウィルスに負けないためには、口内環境が大事です。

口は細菌防御の第一関門と呼ばれています。唾液が大切です。唾液は口の中を感染から防御する、また体をウィルスや細菌などから防御する、そういった役割も持っているので、しっかりと口を唾液で湿潤させておくことが大切です。

マスクをしていると潤っている感じがしますが、息苦しかったり、ちょっと油断して、つい口が開きがちになります。マスクをすることによって、口呼吸することが多くなって、口が乾きやすいという人もいます。

最近の状況で、外出を控えたり、人との会話が少なくなることで、口の機能を十分に使うことが少なくなっています。唾液が少なくなりがちです。

唾液には粘液物質が含まれていて、ウィルスや細菌が喉や鼻の粘膜から入り込むのを防いでくれます。

ところが唾液が少ないと、免疫機能が働きにくくなり、ウイルスや細菌が侵入しやすい状態になってしまいます。そこで唾液を増やす方法があります。

キャンディーをなめる

最近の研究で、キャンディーをなめると、唾液の中の免疫物質であるIgAが増加することがわかってきました。

キャンディーをなめることで唾液腺が刺激されて、唾液に含まれるIgAと呼ばれる免疫物質が増えます。その濃度は、キャンディーをなめなかったときと比べると、およそ3割増えます。

上田敬之さんオススメのキャンディー

香料、香りの成分の入ったキャンディーがオススメです。キャンディーに含まれる香りの成分が唾液腺や脳を刺激します。

オレンジなど柑橘類に含まれるシトラールや、ライチなどのオリゴノール、シナモンなどの成分が効果的です。

頭文字をとってDOMAC(ドゥーマック)と呼ばれています。Dはデカン酸、Oはオリゴノール、Mはメチルセルロース、Aはアクア、Cはシナモン、シトラールです。

DOMACが含まれたキャンディーをなめると、免疫力がアップします。また唾液も増えるということで、感染防御等に役に立つのではないかと考えられています。

上田敬之さんオススメのキャンディーのなめ方

同じキャンディーでもなめ方によって効果が変わります。

技その1 キャンディーはかまない

小さくなるとついつい噛んでしまいますが、そこを我慢して、最後までゆっくり味わうことで唾液の量が増えます。

技その2 口の中でコロコロ動かす

口の中でいろいろ動かしながらなめるとより効果的です。キャンディを口の中で転がすようにすると、唾液腺がの働きがより活発になります。

口が渇いたなと感じたら、1日3粒くらいを目安になめるとよいでしょう。虫歯予防の観点からも、ノンシュガーのものを選びましょう。

たくさんなめればなめるほどよいということではありません。適量を食べましょう。

キャンディーの他に、ガムも効果的です。しっかり噛むことで唾液が出ます。

舌をきれいにして口内環境を整える

口内環境を整えるためにポイントとなるのが、口の中でも特に大切な器官である舌です。口の中の免疫力を高めるためには、舌をきれいにしておくことが大切だということが、最近の研究でわかってきました。

免疫力の元になるのは唾液に含まれる免疫物質です。ウイルスや細菌が喉や鼻の粘膜から入り込むのを防いでくれます。ところが、歯や舌が汚れていると、その効果が減ってしまいます。

口の中が汚れていると、そういった免疫物質を口の中の細菌をやっつけるために使ってしまい、外からやってきた細菌やウィルスに抵抗する能力が減ってしまいます。

皆さん歯は磨くと思いますが、見過ごされがちなのが舌の汚れです。舌の表面が白くなっていませんか?これは舌苔といわれる細菌の塊です。舌の表面が凸凹しているので、食べかすがつきやすく、汚れやすいのです。これをきれいにする必要があります。

舌をきれいにするには?

歯ブラシは少し固すぎるので、舌の表面を傷つける可能性があります。なので専用の舌ブラシを使ったほうがいいです。舌ブラシはいろいろな種類があります。

舌ブラシで舌の奥から先端に向かって優しく磨きます。特に奥は舌苔が増えやすいので、特に丁寧にしてください。1日1回、歯磨きと合わせてやるといいでしょう。

舌の汚れを予防するには?

舌の汚れを予防することも大切です。そのための技が、口をしっかり動かすことです。いろいろな方法がありますが、1つの方法として、早口言葉が最適です。

早口言葉の中でも、特に唇と舌の動きが強調された早口言葉がオススメです。言葉は「パンダの宝物」。これが舌の良いトレーニングになります。

特にパ、タ、カの発声のときに舌がよく動いて、口の中で擦れます。さらに動かすことで、舌の表面の唾液も増えるので、汚れがつくにくくなります。

舌の汚れを取ったり予防したりする新たな方法も登場しています。最新の研究で、役立つことがわかったのが、鮭の白子です。

上田教授の研究でも鮭の白子の成分が含まれたタブレットを7日間摂取すると、舌の表面の細菌の数が4割程度減少することが明らかになりました。

鮭の白子はなかなか手に入らないかと思いますが、最近その成分を含んだタブレットいやジェルなどが市販されています。舐めるだけで手軽なので、汚れが気になったりする時などに、試してみるのも良いでしょう。

感染防御や健康維持という意味で口は大切です。多少の舌苔がついていることに関しては問題はありませんが、たくさんついていると、口の中の細菌の数が増えている状態なので、やはり手入れをして少しでも減らしておくことが大切です。

 

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