2021年4月27日のまちかど情報室のテーマは”おうちで楽しむお寺のごはん”でした。精進料理をじっくり味わうことで、心を落ち着かせる技を教えてくれたのは、東京浅草にあるお寺の住職 青江覚峰さん。
青江さんば、書籍やイベントを通じて精進料理の魅力を伝えています。
精進料理で心を落ち着かせる
精進料理は肉や魚を使わない料理という制約がある中で、手間ひまかけて素材の味を引き出すのが特徴です。
少し時間がある時に精進料理を作るとか、あとは長い時間をかけて豆をいる、これによってわちゃわちゃしている心を落ち着かせたい、また味わいも深くなっていきます。
大豆だしの味噌汁
材料は大豆、油揚げ、豆腐、味噌のみです。
まず、大豆だしをとっていきます。精進料理では大豆は貴重なタンパク源で、だしにもよく使います
中火でいると香ばしくなりますが、ここが心を落ち着けるポイントになります。
音がカラカラカラという高い音から、しばらく火を入れていくと、コロコロコロという低い音になります。
またもっと火をいれていくと、カラカラカラという高い音に戻っていきます。
火の通り具合を音で判断します。
約4分後にカラカラからコロコロに、それから約6分後にコロコロからカラカラに。
水分量の変化などによるものと推測されていますが、この状態だとよりおいしいだしがとれるということです。音で心を澄ませて聞いてください。
そして、大豆をお湯に少ずつ入れて、半日ほどおいておくと色が変わります。
大豆のいい香りがするだしがとれます。
これを中火にかけて豆腐と油揚げを加えて、味噌を溶いたら出来上がり。
大豆だしの味噌汁は、甘いです。これがすごく違います。
大豆を一回いっているので、香ばしいです。
これはぜひ体験していただきたいです。
大豆だしは他の料理にも使えますし、残った大豆も煮たり炒めたりして味わえます。
おふじゃが
次のおすすめが、おふの料理です。
肉じゃがではなくて、あえておふにすることで、楽しみが生まれます。
スポンジのようにたくさん水分を吸うので、ジュージーなだしを楽しむことができます。
まず、水にしょうゆをちょっと入れます。そこにおふを30分ほど浸して下味をつけます。
ジャガイモと人参を炒めて、そこに昆布だしを入れて、ひと煮立ちさせます。
その後、砂糖、しょうゆ、みりんを入れてから、おふを加えて煮込みます。
汁気が半分ほどになったら出来上がり。
うまみがぎゅっと詰まってますし、しかもカロリーが控えめでヘルシーです。
今風に言えば、素材の味が生きているというか、ちょうどいい塩梅だと思います。
時々こういった精進料理を召し上がっていただいて、目先を変えてみると、少しアクセントになると思います。
精進料理の作法は様々ありますが、一口食べて、しっかり箸を置いて味わって、また箸を持って食べます。
2021年5月11日のまちかど情報室のテーマは”おうちで楽しむ お寺のごはん”でした。
精進料理は使える食材に限りがある中で、一つ一つを大切に使います。
自炊する機会が増える中で、食材を上手に使い切る方法を教えてくれたのは、今回も東京浅草にあるお寺の住職 青江覚峰さん。
食材を上手に使い切る
いただく命だから最後まできっちりと使い切らせていただく、普段食べないで捨ててしまうようなところも等しい命としてちゃんと見て料理をしていく、これが大切になってきます。
普段捨ててしまいがちなのが、にんじんやジャガイモなどの皮です。
すぐにゴミ箱に入れないで、一旦ボールや調理用バットに入れておきます。
「これ何に使えるかな?」と食材として見ることができます。
これでもう一度生まれ変わらせることができるかもしれません。
例えば、じゃがいも、ブロッコリー、アスパラガス、にんじん、まいたけなど、野菜の皮や茎、出汁をとったあとの昆布や椎茸。
これらをすべて、生まれ変わらせます。
がんもどき
そこで青江さんが使うのが、たんぱく質たっぷりの木綿豆腐と長芋です。
作るのはがんもどき。栄養も豊富です。
がんもどき 2人分
木綿豆腐 1/2丁
長芋 90 g
片栗粉 大さじ2
しょうゆ 小さじ1
塩 少々
砂糖 大さじ1/2
作り方はシンプルです。
食材の残った部分を全てみじん切りにします。
そして、すりおろした長芋と水切りした豆腐を入れたボールの中に入れます。
砂糖、塩、しょうゆ、片栗粉を加えて混ぜて、食べやすい大きさに丸めていきます。
これに小麦粉をまぶしてから油で揚げて、きつね色になったら出来上がりです。
どんなものでも包み込んで、美味しく頂くことができるという意味では、本当に懐の深い料理です。
なので、青江さんのお寺では、毎週のように作って、頂いています。
大豆の甘辛炒め
がんもどきに豆腐を使ったように、精進料理では大豆が貴重なタンパク源になります。
この大豆を使い切ります。
上記の大豆だしでは、大豆を中火で丁寧に炒ってから、お湯に入れて、半日ほどおいておくと、だしがとれます。水の色が変わります。
これで味噌汁を作りました。この時に残った大豆を生まれ変わらせる青江さんの技があります。
大豆の甘辛はそのまま常備菜として使うことができます。
大豆を甘辛く炒めた料理です。
こちらも作り方はシンプルです。まず水気を取った大豆に片栗粉をまぶします。
油を引いたフライパンに大豆を入れて、中火で1分ほど手早く炒めます。
火を弱めてから、醤油と砂糖を入れて、大豆とよくからめたら完成です。
冷蔵で一週間ほど持ちます。
少しお腹がすいた時にポリポリと2・3粒食べたりすることもできますし、チャーハンに入れたり、炒め物に少し入れたりと、アクセントとして使うことも可能です。
こういったものを取り入れることによって、普段の食事のバラエティが増えます。
日々の生活がより豊かになるのではないのかなと思います
がんもどきは、残った食材を細かく切って入れるので、その時々で具が変わりますが、青江さんは、それも一期一会なので、味の違いを楽しんでほしいと話していました。
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